産卵、ふ化のデータ例        吹上浜ウミガメ塾

 06年の51ヶ所、と危機的な減少で心配された上陸数は124ヶ所となり、一応安堵しました。しかし、減少傾向は否定できません。

2007年のウミガメ産卵と子ガメの旅立ち状況

(注)  獣害はウミガメ関係者間では食害と表現されていますが、当塾では食害と獣害を使い分けています。 獣害の多くは足跡から狸のようです。

 確認産卵  卵を確認
■ 推定 〃  産卵を推定
■ 窪掘帰海  巣掘り前の窪地まで掘って帰海
■ 巣掘 〃   巣掘りを中断
■ 不明 〃  産卵可能地なのに引き返した
■ 迷所 〃  産卵適地に迷って引き返した
 障物 〃  漂着物など障害物で帰海
■ 段差 〃  波による段差を上がれず帰海
■ 浜崖 〃  浜崖があり帰海

A.上陸、産卵の状況

 産卵された卵は、すべて孵化、脱出できるわけではなく、冠水したり、98年から突然始まった獣害など、上記のような原因で子ガメの海への旅立ちは、厳しい状況です。

 自然なままの産卵巣と、移植や獣害防具の、保護策を施した産卵巣などを総計すると、子ガメが海に旅立ちできたのは、左記のような結果でした。

 すべての産卵巣は、子ガメが脱出した後を掘り返して、孵化と脱出の結果を調査しています。 結果を左表に示しました。

1.獣害防具

卵の移植の結果
 水没の恐れなど、孵化できないと思われる卵は安全な砂地に移植しました。 その結果は左記のごとく、成功しているといえます。

      (注) ◎○△×は上記と同じ脱出状況

獣害予防具の結果
 左記のごとく、獣害防具で多くの子ガメを守ることができました。 06年は全産卵巣が31ヶ所と少なかったため、すべてに獣害予防具を設置できましたが、07年は産卵巣が87ヶ所と、多かったため、一人の作業では精一杯でした。

 06年は獣害ゼロだったため、獣害問題は自然に解消か、とも思いましたが、07年の結果をみると、06年の獣害ゼロは獣害予防具の成果であることを確信できました。
 作業人数が多ければ、ほぼ全巣を守れると思いますが、自然なままの未知な実態も興味がもてます。

 産卵巣を獣から守るために、獣には掘れなくて、子ガメは自力で脱出できるように獣害防具を設置しています。

獣害 防具  ―  実害を発見してから設置。
獣害 防具  ―  未然に設置。

.卵の保護対策の結果

.子ガメの脱出結果

B.産卵巣の経過

 ◎   無害で一巣から75%以上脱出
 ○      〃  75〜50%
 △    〃  50〜25%
 ×      〃  25%以下脱出
 全    〃  全滅
獣 ◎     獣による害を受けたが、保護
       策により上記◎○△×の割合
       で脱出した
 蟻獣  シロアリ害と獣害をうけた
 蟻全   シロアリで全滅
 冠水  冠水等で未孵化や流失など
 人災  盗掘、棄損など
 不明   孵化、脱出を未確認

2.卵の移植

移植の結果

産卵巣数

13

14

1

×

2

獣害で×

2

32

獣害予防具巣の脱出結果

 巣数 

◎75%以上脱出

12

○ 50〜75%

6

△ 25〜50%

2

× 25%以下

2

獣害受けたが ◎

1

シロアリ害全滅

1

24

 獣害防具   15ヶ所

 獣害防具    24ヶ所

 獣害防具    39ヶ所